「資格を取ればなんとかなる」と思っていたころの私へ
PCスクールで働いていたころ、こんな相談を本当にたくさん受けました。
- 「転職したいので、とりあえずMOS(Excelの資格)を取りに来ました」
- 「今の仕事に不安があるので、何か資格を取ったほうがいいかなと思って…」
気持ちはすごく分かります。
- 何か行動したい
- でも、何から始めていいか分からない
- とりあえず「資格=分かりやすい目標」にしておこう
私自身も、社会人になりたての頃は「資格を取れば、きっと将来安心になるはずだ」と思っていました。
ただ、何年か人のキャリア相談に関わってきて感じたのは、
「資格を取る」こと自体よりも、「なぜそれを取るのか」を一度言葉にしておくほうが大事
ということです。
今日は、「資格をとりあえず取りたくなったときに、一度だけ立ち止まって考えてほしいこと」を整理してみます。
資格そのものは悪くない。ただ「目的」がぼんやりしていると苦しくなる
最初にハッキリさせておきたいのは、資格そのものは決して悪者ではないということです。
- 勉強を通して基礎が身につく
- 自信につながる
- 職場によっては手当がつく
ちゃんと目的がはっきりしていれば、資格はすごく強い味方になります。
一方で、現場でよく見ていたのは、
- 「とりあえず資格さえ取れば、後は何とかなるはず」
- 「資格を取れば、やりたいことが見つかるはず」
という気持ちでスタートして、
- 勉強がつらくなって途中でやめてしまう
- 取ったあとも「で、結局これをどう活かせばいいの?」と迷う
というパターンでした。
原因はシンプルで、
資格が「目的」になっていて、その先がぼんやりしている
からです。
資格を考える前に、自分に投げたい3つの質問
いきなり「やめた方がいい」とは言いません。
代わりに、勉強を始める前に自分に投げてみてほしい質問を3つ紹介します。
質問1:「この資格を取った“あと”に、どうなっていたい?」
まずはこれです。
「この資格を取れたとして、その“あと”自分はどうなっていたいか?」
- 今の仕事で、どんな場面で役に立ちそうか
- 転職や副業のときに、どんな選択肢が増えそうか
- 自分の不安やモヤモヤが、どんなふうに軽くなっていてほしいか
ここがまったく浮かばないなら、一度立ち止まってもいいサインかもしれません。
逆に、
- 「今の仕事のこの部分を、もっとちゃんと理解したい」
- 「将来こういう仕事を選べるようになるための一歩にしたい」
といったイメージが少しでも出てくるなら、その資格はあなたの「目的地」に近いところにありそうです。
質問2:「その力は、本当に“資格”という形でないとダメ?」
2つ目は、少し意地悪かもしれませんが大事な問いです。
「その力は、本当に“資格”という形でないとダメ?」
たとえば Excel のMOS なら、MOSを取ること自体よりも「仕事でExcelを使いこなして、時間とミスを減らせること」が、本当に欲しい結果だったりします。
そう考えると、
- 資格講座に何万円もかけなくても、まずは社内の資料やネットの無料教材で「実務で使えるところ」だけやってみる
- 試験までは受けずに、「自分の業務をスムーズにできるレベル」を目標にする
という選択肢も出てきます。
もちろん、
- 「転職活動で“資格名”が書けたほうが有利になりそう」
- 「職場で資格手当が出る」
といった、資格ならではのメリットがあるケースもあります。その場合は、
「実務に使えるスキル」と「資格という”名前”」のどちらも取りにいく
のは全然アリだと思います。
質問3:「今の生活リズムで、現実的にどれくらい時間を使える?」
3つ目は、すごく現実的な話です。
「今の生活リズムで、その資格にどれくらい時間を使えるか?」
- 平日の仕事終わりに、どれくらい勉強時間が取れそうか
- 休日に、どのくらいなら無理なく続けられそうか
- それを「何ヶ月くらい」続けるイメージか
具体的な数字が出てこないまま走り始めると、
- 最初の1〜2週間だけ全力で頑張る
- その後、疲れて手が止まる
- 「自分は続かないタイプなんだ」と落ち込む
という、もったいないパターンになりがちです。
ここで大事なのは、
「頑張れば1日3時間できる」ではなく、「現実的に、無理なく続けられる時間」を前提にする こと。
- 平日は30分だけ
- 休日に1〜2時間
それくらいからでも全然OKです。
「資格そのもの」より「考えるプロセス」が大事
ここまで3つの質問を書きましたが、実はポイントは「答え」そのものではありません。
- 資格を取るか取らないか
- 今すぐやるか、少し先にするか
よりも、
「なぜそれをやりたいのか」「今の自分にとって現実的か」を一度自分で考えた
というプロセス自体が、その後の選択にも効いてくると感じています。
PCスクールで見てきた中でも、「自分で目的や優先順位を言葉にできた人」ほど、勉強も続きやすく、転職やキャリアチェンジもうまくいっていました。
逆に、「なんとなく良さそうだから」「とりあえず不安だから」だけでスタートすると、勉強自体がストレスになり、自己肯定感が下がってしまうことも多かったです。
資格を取る・取らないよりも、
「自分の頭で一度考えてから選んだかどうか」
を、大事にしていきたいなと思っています。
今日の一歩:今気になっている資格の名前を書き出して、3つの質問をメモする
今日の一歩は、シンプルです。
今、頭の片隅にある「気になっている資格の名前」を1つだけ書き出して、その下に、今日の3つの質問への答えをメモする。
3つの質問をもう一度書きます。
- この資格を取った“あと”に、どうなっていたい?
- その力は、本当に「資格」という形でないとダメ?
- 今の生活リズムで、現実的にどれくらい時間を使える?
ノートでも、スマホのメモでも構いません。
完璧な答えじゃなくていいので、1つの質問につき1〜2行だけ、自分の言葉で書いてみてください。
それだけでも、
- 「なんとなく資格」から
- 「自分で考えたうえでの資格 or それ以外の選択」
に、一歩近づくはずです。
